▼▼▼ 2012/04/22更新 ▼▼▼
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インドネシアの民話「ロロジョングランの伝説」
朗読用にテキストは大幅に書き直しています。
▲▲▲ 2012/04/22更新 ▲▲▲
昔々、プラブ・バカ(Prabu Baka)という王様が中部ジャワのプランバナン(Prambanan)のあたりを治めていたそうです。この王様はとっても残忍だったそうですが、とても強い王様だったので、挑む者もいなかったため長い間にわたってその地に君臨してました。しかし、終にはこの王様もよその国の王様によって滅ぼされたそうな。
このプラブ・バカ王を滅ぼしたのは、ペンギン(Pengging)(*1)王という王様なのですが、その家臣の中でこの戦いに最も功績があったのがバンダワサ(Bandawasa)という第一の大臣です。このバンダワサは「バンドゥン(Bandung)
」と呼ばれる超自然的な力を持つ武器を持っていて、その為か彼自身は‘バンドゥン・バンダワサ’と呼ばれていたそうです。
さて、プラブ・バカ王を倒した後、プランバナン一帯は、敵王打倒の功績があった家臣バンドゥン・バンダワサが治めることになったのですが、彼は敵王プラブ・バカの娘ロロ・ジョングラン(Loro
Jonggrang) を妻に娶りたいと言い出しました。美女の誉れ高き王女ロロ・ジョングランは、自分の国を征服し、父王を殺害したバンドゥン・バンダワサの求婚を何とか逃れるため、大臣の助言によって、到底実行不可能な条件をバンダワサに課すことにしました。その条件とは「一晩のうちに1000の寺院を建立し、深い井戸を2
つ掘ること」(*2) でした。
およそ実行不可能に見えたこの条件ですが、バンダワサとしては、成算があったのです。バンダワサは彼の父親ダマルマヤ(*3)(Damarmaya) と彼の君主であるペンギン王に助力を願い出ました。この二人は、超人的な能力を持つ僕を沢山抱えており、ロロ・ジョングランの無茶な課題も容易に成し遂げることが出来ると思われたのです。
ロロ・ジョグンランの課題を達成する約束となっている夜が来ました。バンダワサは強力な僕達の助けを得て、次々と寺院を建てていきます。明け方の4時には995
の寺院が完成し、2 つの井戸もほとんど完成しかかっていました。様子を覗きに来たロロ・ジョングランの家臣は驚き、宮殿に戻ると、そのことを彼女と大臣に告げました。「不可能と思われた課題をバンダワサが達成してしまう」ロロ・ジョングランは驚き、絶望しそうになりました。しかし大臣は一計を思い立ち、付近の村村の娘達を起こし、一斉に米を引かせたそうな。(これはジャワの女性がいつも夜明けに行う仕事だったそうです。)
一方 バンダワサを助け、工事を進めていた僕たちは、この米を引く音を聞きつけ「夜明けが来た」と思い込み、作業を止めてしまいました。
さて、夜明けと共に、バンダワサが寺院の数を数えたところ、工事は999 個目の寺院で終わっています。バンダワサは驚き、そして落胆しましたが、工事が中断した本当の理由を知ると、強力な呪文を発し、近隣の村村の娘達に‘老いるまで結婚できない’という呪いをかけました。そして、ロロ・ジョングランを石像へと姿を変えてしまいました。
プランバナン寺院群の中で最大のシバ寺院に残るドゥルガ(Durga: Siva 神の妻)の像が、この石に変えられたロロ・ジョングランであると言われています。またその為か、シバ寺院は‘Candi
Loro Jonggrang’( ロロ・ジョングラン寺院) と呼ばれることも多いようです。
*1:このPengging王ですが、どういった素性・由来なのかよく分かりません。
*2:課せられた条件としては「1000の寺院建立」だけという話もあります。
*3:バンダワサはボコ王(Ratu Boko = Prabu Baka?)の息子である、という話もあります。
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