92年のお話しです。
私が勤めているジャカルタの事務所が入っているビルには、親会社の親会社(つまりグランド・マザー・カンパニー?)の駐在員事務所も入っておりました。同じグループですので、駐在員同士のお付合いも結構ありました。
さて、その駐在員事務所に勤務している若手のN氏がある日おお慌てで、私の事務所へやってきました。
曰く;○○さん!イリヤンジャヤ(*1)のティムカから訳のわからん電話がかかってきたんですよ。助けて下さい。
電話の内容は;
イリヤンジャヤの山に登ろうとしている女性登山家JT氏が、途中F社(イリヤンジャヤの鉱山会社)の敷地を通行しようとしたところ、通行を断られ立ち往生しているとのこと。鉱山会社の敷地を見ると、貴社の製品が稼動しており、何とか貴社からF社に通らせてもらえるよう話しをしてくれ。とのこと。
電話をしてきたのは、JT氏本人ではなく、同行しているY新聞社の女性記者。製品の商標を見て、グランド・マザー・カンパニーの駐在員事務所をしらべ、電話をかけてきたらしい。でも稼動している場所からして、どうやらウチの製品...
さあ、大変! 相手は超有名登山家。おまけに新聞記者まで同行してる。対応を誤ると弊社は新聞紙上で袋叩きだ~(^_^;) でもどうしよう。
JT氏の行く手を遮るF社に話しをつけるには、東京本社からやってもらわないと どうしようもない。あ~、でも国際電話通じないんだよね~。つながっては切れ、つながっては切れ。どうも話しがうまく本社に通じない。事情を説明したファクシミリも送信する。しばらくして電話が通じ、本社のスタッフに状況をうかがうと、向こうも相当混乱している模様。(まさか、イリヤンジャヤで弊社のせいでJT氏が現地人に襲われたなんて、誤解はしてませんように...)
結局、F社に話しがついたのが3~4日後になってしまい、JT氏は登山を断念。(イリヤンジャヤ滞在許可期間が切れる為、長居出来ず) JT氏は日本への帰路、ジャカルタへ寄り、グランド・マザー・カンパニーの事務所に挨拶に立ち寄ったとのこと。
チョットチョット! 一生懸命やったのは、こっちなんだからウチに来てくれてもいいじゃない。
その後JT氏は用意万端整えて、再度イリヤンジャヤ入りし無事登頂に成功しました。おめでとうございます\(^o^)/。
有名人にあうチャンスを逃したのが残念でした。(私もミーハー。)
※1:ニューギニア島の西側半分です。インドネシアの領土になってます。コテカ(え~...つまりその~。例のペニス・ケースです)をつけたダニ族で有名。