先の写真のちょうど反対側から撮影したもの。
左奥がスマール(Semar)、その右側がアルジュナ(Arjuna)。
そして右へ向かってスリカンディ(Srikandi)、プンタドゥワ(Puntadewa)、スンバドラ(Sembadra)。
いずれも、ワヤン「マハーバーラタ(*)」で「パンダワ家」に属する登場人物。そのため、この寺院群はパンダワ寺院群とも呼ばれる。
なお、パンダワ家でもっとも有名な英雄「ビーマ(Bima)」の名を付けた寺院は、なぜかこの場所から2kmほど離れた高台にある。
ビーマ寺院(Candi BIMA)
かなり独特な形状をしています。730~780年頃に建設されたと言われている。
上は、中部ジャワ州博物館(スマラン)に展示されている写真。
・参考:スマランとその周辺 > 中部ジャワ州博物館
◆寺院の名称について(マハーバーラタの登場人物)
アルジュナ |
パンダワ5兄弟の三男。「ダナンジャヤ」とも呼ばれる。
弓の名手。愛弓「ガーンディーヴァ」の弦をはじく音は敵軍を震え上がらせます。 |
ビーマ |
パンダワ5兄弟の次男「ビーマセーナ」。単に「ビーマ」とのみ呼ばれることが多い。大力無双の英雄。 |
プンタドゥワ |
パンダワ5兄弟の長兄ユディシュティラの別名。かれは「ダルマプトラ」とも呼ばれる。
知恵深く王者に相応しいと言われますが、コラワ家の挑発に乗り、サイコロ賭博で王国を失うのも彼だったりします(~_~;)。 |
スリカンディ |
アルジュナの妻にして、戦士。コラワ家の長老で将軍でもあるビーシュマに止めを刺す運命のもとに生まれた女性。(インドの原典では、シカンディンと呼ばれており、男の設定になってます。) |
スンバドラ |
アルジュナの妻。アルジュナとの間に勇者アビマンニュをもうける。(インドの原典では「スバドラー」と呼ばれています。) |
スマール |
パンダワ家の家臣。インドの原典には登場しないキャラクターのようです。ワヤンでは3人の息子を従えて、道化師的な役割を果たしています。 |
◆マハーバーラタについて
古代インドの叙事詩(サンスクリット語)で成立時期は紀元前400年~紀元後200年ころとされています。(長い間にわたって、次々とお話が追加されていったらしい)
物語は「バーラタ族の内紛~パンダワ家対コラワ家」を軸にいろんな話が織り交ざってます。
一般的には、「善玉のパンダワ・悪玉のコラワ」となってますが、コラワ家側にも、バラモンのドローナ、バーラタ族の長老ビーシュマ、太陽神の子カルナといった魅力ある登場人物が配されています。(私はこの3人とも好きだな~)
ジャワへ伝播した「マハーバーラタ」は、ワヤンの題材として根付いています。右側は、ワヤン・クリッ(人形を使った影絵劇)に使われるビーマの人形。
(参考:"BISMA" Satyagraha Hurip, Pustaka Sinar Harapan, Jakarta 1990
"マハーバーラタ" C・ラージャーゴーパーラーチャリ, レグルス文庫, 第三文明社, 1983)
撮影時期:1993年08月(ビーマ寺院の写真は1999年3月) |
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