今年(2013年)7月に米国の調査機関が発表した日本に関する世論調査で興味深いものがありました。インドネシアと日本に関連する箇所をご紹介します。
表題の大意としては「日本国民の雰囲気(ムード)は回復しつつあり、安倍の人気は高い」といったところでしょうか。副題として「China and South
Korea Very Negative Toward Japan」(中国と韓国は日本に対して極めて否定的」とあります。(貼り付けてあるピューリサーチセンターのWebイメージをご覧ください)
記事の前半は、経済・安倍首相・改憲についての日本国内の世論調査結果を紹介。
記事の後半は、日本に対するアジア・太平洋諸国での世論調査結果が紹介されています。
紹介されている調査項目は次の3つ。
「1.日本を好意的に見るか否か」については、毎年行われているBBCの調査結果(2013年 http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-22624104 )とほぼ同様の傾向であり、中国・韓国を除く国々の対日イメージは概ね良い。
「3.安倍晋三を好意的に見るか否か」については、どう評価するか少々難しい。日本の首相の名前なんて、まだあまり知られていないのではないかと思います。この記事の論評としては「Prime
Minister Abe’s strong showing at home is not mirrored overseas, in part
because he is still not well known outside Japan.」(日本国内での安倍首相の強みは海外に対しては反映されていない。それは部分的には日本国外では依然として彼はよく知られていないためだ)とあります。
さて、私として注目したいのは「2.1930・1940年代の日本の軍事行動について、日本は十分に謝罪しているか?」です。
インドネシアでのアンケート結果だと、No(十分に謝罪していない)が40%。Yes(十分に謝罪した)29%及びNo apology necessary(謝罪は不要)6%の合計35%を上回ります。DK(don't know 知らない)は25%。
「1.日本を好意的に見るか否か」で、インドネシア回答の79%が日本に対して好意的と答えているのですから、「十分に謝罪していない」と答えるのは多くても21%(100%-79%)じゃないのかなと推測するのですが、どうも違うようです。あと、知らないが25%もいるということは、日本占領という歴史について風化が進みつつあるのでしょう。(日本人でも日本が米国と戦争したことを知らない人たちが増えているらしいが)
それから、ピューリサーチのコメントでは、世代間で回答に差があるようです。「But in Indonesia, younger Indonesians are actually more likely than older Indonesians to say Japan needs to apologize more: 43% of those under 30 say they want more of an apology; only 31% of those who are 50 years of age and older see such a need.」(しかし、インドネシアでは、実際のところ若い世代の方が年長の世代よりも日本はもっと謝罪が必要と言う傾向にある:30歳以下のインドネシア人の43%が更に謝罪を要求しているのに対し50歳以上のインドネシア人だと31%がそういった要求をしているにすぎない。)
若い世代の方が、より多く「日本の謝罪は不十分」と答えているのは、少々気がかりです。この世代間での差が何に由来するのか? あと、若い世代でDK(知らない)と答えたのはどれくらいるのか? ピューリサーチで詳細なレポートを見つけたらフォローしておきたいと思います。
「1.日本を好意的に見るか否か」でインドネシア同様、日本を好意的に見ている(78%)フィリピンも「十分に謝罪していない」が47%いる。ただし、フィリピンは「十分に謝罪した」&「謝罪は不要」の合計も48%に達する。これだと完全に意見が二分化されていると言って良い。
将来機会があれば、日本に対して「謝罪不十分」としているインドネシア人とも話をしてみたいものです。もちろん礼節を持って対応したい。あと「親日」的な国を見つけては喜んでいるような風潮をネットで見かけますが、「反日」的な国々を「親日」にして行く努力も必要でしょう。「反日」的な国々は滅ぼしてしまうべきなんでしょうか? インドネシアだって、「親日、親日」とお気楽に構えていると、突然「反日」になったりしますよ。
このピューリサーチの世論調査を知ったのはJBPresというサイトに掲載されていた次の記事で。
日本人が知らない親日国家「20対2」の真実、安倍首相のアジア訪問で明らかに
この記事内にピューリサーチの調査結果urlが記載されていないため、元情報(http://www.pewglobal.org/2013/07/11/japanese-publics-mood-rebounding-abe-strongly-popular/)を見つけるのに手間取りました。
なお、この記事の中で“「日本は戦争行動に対して十分に謝罪したと思うか」という問いに対しては、フィリピン、マレーシア、インドネシア、オーストラリアなどが「十分に謝罪した」「もう謝罪する必要はない」という答えが圧倒的多数派となった。”などと書かれている箇所がありますが、全く異なるのは上でご紹介した通り。“「十分に謝罪した」「もう謝罪する必要はない」という答えが十分な多数派となっているのはオーストラリア(30%対55%で過半数)だけです。圧倒的多数(例えば2/3を超えるとか)の国などありません。元情報を明らかにしていない記事を鵜呑みにしないよう注意しましょう。
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