2006年メダン渡航の際に、書店で手にした一冊の高等学校用歴史教科書。
辞書を引き引き(というかTRTEXTを使って)読み進むうち、ズブズブと「インドネシア史」のお勉強にのめり込んでしまいました。
このサイト内の「インドネシア史」関係コンテンツの目次及び簡単な解説・案内として、下記の通り纏めておくこととします。
歴史教科書の内容は「客観的な歴史記述」でしょうか? こんな問いに簡単に答えることは出来ませんよね。しかし、どこの国の教科書も特定の「歴史観」に基づいて記述されているのではないでしょうか。以下に紹介するインドネシアの歴史・社会科教科書は私にとって無作為で入手したものですが、ある一定の歴史観・主義によって記述が統一されているように見うけられます。
まず一つ明確なのは「反植民地主義」です。
オランダと同様に日本もインドネシアを支配した植民地主義者・帝国主義者として教科書に登場します。そして「植民地主義は人間性と正義に反する」(インドネシア共和国憲法序文)から、邪悪なものとして教科書の中では徹底的に批判されています。
「インドネシアの歴史・社会科教科書では日本軍政を好意的に記述している云々」という主張を時々見かけることがありますが、私の知る範囲(下記教科書の記述)では全く事実に反します。もちろん、ごく一部の文章だけを抜き出せば、「日本軍政を好意的に記述」しているように見せかけることはできますけどね。
今、「日本軍政は素晴らしかった云々」と書いている教科書はないか漁っています。在インドネシアの知人に相談したところ「そんなもんあるわけないだろ!」という顔をされてしまいましたが。。。。
さて、以下の教科書(訳)を読まれる方々。日本人として気に食わないことや読みたくないことも書かれていると思います。しかし、これがインドネシアの教科書(つまりあの国の政府が国民に教え込みたい歴史)であると理解しておいてください。当然のことながら、これが完全に客観的な歴史だったと鵜呑みにはしないでくださいね。
高等学校(理系)3年生向けの教科書。私が初めて読んだインドネシアの歴史教科書です。2004年度カリキュラムに基づくもの。
日本軍占領時代については「最悪の時代」と評価しており、「オランダ時代より悪い」と最低の形容。訳を読まれた方は少々ショックかもしれません。しかし、日本軍政の肯定的な影響として「愛国心、ナショナリズム、規律、努力、反植民地主義、祖国への献身的な自己犠牲、一体感といった重要な倫理価値観を強化した」とも書かれており、批判と評価のメリハリがききすぎているような。。。。
中学校2年生向け教科書。インドネシア独立宣言とそれに向けての動きを中心に記述。2006年度カリキュラムに基づくもの。
独立宣言文起草に深く関与した海軍提督前田精少将についての記述もあります。インドネシア独立への了解を軍政監部(陸軍)から得ることが出来なったスカルノ・ハッタが前田提督を頼るという、これでは善玉海軍・悪玉陸軍。。。という設定ですな~~。陸軍の中にも独立に同情的な人々はいたはずなのに。。。。。
小学校6年生向けの歴史教科書。1977年版をもとに翻訳された和書です。
高等学校2年生向けの教科書。1998年版。スハルト体制末期の歴史教科書。
なんというか、あんまりメリハリのない記述なんです。「オランダ時代より良いとも悪いとも」書かれていないし、「軍政の肯定的/否定的な影響」についても纏めていない。もちろん、独立宣言に協力した前田提督についての記述がある一方、民衆の抵抗運動を鎮圧する日本軍については、残酷・卑劣と最低の形容をしていますが。。。。あと、やたらとパンチャシラ(建国5原則)が登場します。これがスハルト時代の教科書の特徴なのか?
インドネシア国家教育省がWebで公開している社会科教科書を読み始めました。
2010年10月3日更新 「D. 日本のインドネシア占領」の翻訳を更新しました。
各国のインドネシア大使館Webに掲載されている「インドネシア共和国史」を紹介。なぜか、在日本(東京)インドネシア大使館のWebには歴史のページがないんです。もし見つけた人がいたら教えてください。ひょっとしたら、2006年に退任した大使が帰国前に「日本人の歴史観を批判」したらしいので、歴史のページはわざとない状態なのかも。
ついに、オランダ政府はインドネシアの独立を「1945年8月17日である」と認めたようです。テンポ・ドゥルを直接知る人はもうほとんど全くいないでしょうし、インドネシア独立戦争に従軍した兵士も少なくなったのでしょう。「さまよえるオランダ人」もついに舵を切ったのですね。
聖将・仁将の誉れ高い今村均陸軍大将。ジャワでの「寛大な軍政」については、つとに有名です。今村将軍についてのインドネシア側の記述を追ってみました。
インドネシア独立宣言の日付に使われた「2605年」。今はどうなっているのでしょう。
表題の通りです。この興味深い風説を検証してみました。
東南アジアきっての親日国インドネシア。なぜ親日なんでしょうね?
今年(2013年)7月に発表された米国調査機関のアンケート調査結果から。
特になし。