インドネシア国家教育省はWebページで教科書のダウンロード・サービスを行っています。
国語、数学、理科、社会科などの教科書(pdfファイル)がダウンロード可能です。このサービスの主な目的は、国内外のインドネシア人教師・生徒が教科書をダウンロードし、その勉学に役立てることです。複製・プリントの配布は自由ですが、有償(商用)での配布には制限があります。(制限の具体的な内容については、ダウンロード直前に表示される条件の項目や、pdfファイル自体の序文に記載されています。)
さて、社会科の教科書については小学校・中学校用のものが数多く用意されており、どれを読もうか目移りしてしまいますが、同じ執筆者チームで中学1・2・3年生向けに編集されたものがありましたので、その中から歴史関係について記述している箇所をご紹介したいと思います。
全体で16章からなります。内容は、地理・政治経済・歴史など社会科関係を包括的に盛り込んでいます。
*1: 地表図形[の見方]。[ ]内は訳者が追加。等高線の読み方など、地理のページです。
*2: マディウン事件/PKI。1948年9月にマディウンで発生した反乱。PKIはインドネシア共産党(Partai Komunis Indonesia)のこと。この反乱事件はインドネシア共産党が主導していた。
*3: DI/TII。DIはDarul Islam("イスラム国家"の意味)の略称。1949年、西ジャワでDI設立を目指すイスラム過激派が独立を宣言し、共和国に反乱を起こした。TIIはTentara Islam Indonesia(インドネシア イスラム軍)の略称。DIが組織した軍隊。
*4: 9/30事件/PKI。9/30事件は1965年に発生した共産党親派の中堅将校らによるクーデター未遂事件。このクーデター鎮圧に功のあったスハルト将軍が、その後徐々に権力の座へ近づいていった。
*5: オルデ・バル。「Orde Baru」。スハルト体制の別名。「新秩序」の意味。スカルノ時代と区別するために使われた用語。スカルノ時代はこの「Orde Baru」に対比され「Orde Lama」(旧秩序の意)と呼ばれた。
*6: レフォルマシ。「Reformasi」。スハルト体制の否定と改革を主張する運動の標語。
この中学3年生向け教科書で扱う歴史は、第二次世界大戦以降であり、それ以前の歴史ついては、中学1年生向け教科書で「有史以前のインドネシア、ヒンズー・仏教時代、イスラム時代、西欧による植民地支配」、中学2年生向け教科書で「西欧植民地主義と帝国主義、インドネシア民族意識の形成過程と民族主義運動の発展」を扱っています。また、中学2年生向け教科書では「日本軍政下でのインドネシア独立準備」と「独立宣言・国家形成」についての章が独立して別に与えられています。
さて、前置きが長くなってしまいました。この教科書の「第2章 第二次世界大戦とそのインドネシアへの影響」を訳出しご紹介します。
私は、これがインドネシア人の一般的な「第二次世界大戦観」であると推測しています。
日本語訳を掲載します。
高等学校3年生/2年生・中学2年生及び小学校6年生向けの教科書も是非ご覧ください。
日本軍占領期のインドネシアについては、次のサイトも合わせて読まれることをお勧めします。