2004年5月台湾旅行記

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06 二日目:叔父の眠る海へ行く(下)

目次

旅行記

資料・写真

本文

楠田上等兵殉職碑

 乗船手続き開始時間と言われていた15:00が近づいたので、乗り場へ戻ります。
 で、乗り場の基隆嶼案内の中に奇妙な掲示を発見。曰く;

 ・楠田上等兵殉職碑

 『なんだこれは?!』 文章は中国語なんでよく分かりませんが「日本兵云々」と書いてある。『なんで、俺が花を抱えて向かう先にこういう物があるんだ?!』(ほとんど絶句状態となりました。)

 乗り場のお姉さんは、花束を抱えて殉職碑の掲示を凝視する私を見つけ、『ここ(楠田上等兵殉職碑)に献花するのか?』と聞いてきます。
 心の中で『いや違う! 俺のやろうとしていることは違う!』ほとんど恐慌状態に陥りそうでしたが、叔父の写真(遺影)を取り出して、花束の意味を彼女と他の係り員に説明しました。(と言っても、英語が分かるのは彼女だけ。。。。)

 いずれにせよ、乗船する際には『花束』の意味(用途)をきちんと説明するつもりだったのです。しかし、こういった形になるとはまったく予想外でした。

 乗船手続き(※)が完了し、ベンチに腰掛けて乗船開始を待つ間、この殉職碑の出現に思いをめぐらしました。『どうすれば良い。。。』
 そして、『決心した。』『この人の殉職碑に花は捧げさせてもらおう』『そして叔父のことも一緒に祈らせてもらおう』と。

 実際のところ花束は買ったが、どうすれば良いか決めかねていたのです。船から海に投げ入れるには、遊覧船は小さくて乗船中はキャビンに閉じ込められる可能性が高そう。基隆嶼へ上陸し、見学中にどこかへ置く、といっても適当な場所かあるのか。。。それに勝手にツアーグループから離れて問題無いか。。。

※乗船するにはパスポートの提示が必要でした。コーストガードの係官が乗船時チェックしていた。台湾の人はIDカード(?)を提示していたようです。

出航

遊覧船「熱海 壱号」

定員は50名。今回乗船したのは30名くらいだった模様。ごらんの通りの小船なんで、港内からでると盛大に揺れました。

 基隆嶼へは25分程度で到着。思っていたより近い。

・ご参考:12 基隆嶼への遊覧船ツアーもご覧下さい。
Google Localで俯瞰した基隆港。赤い艀が見えると思います。(2006年2月18日確認)


基隆嶼

船着場から、殉職碑のある方角を撮影。この基隆嶼は急勾配の山頂が海面に突き出たような小島です。

Google Localで俯瞰した基隆嶼

 ツアーガイドに引率され、見学順路をしばらく歩くと殉職碑が山頂側に現れました。

楠田上等兵殉職碑


 かなり古い物のようです。ツアーガイドに詳細を尋ねたのですが「知らない」とのこと。殉職碑の前に置かれた解説には、次のように書かれています。

『The Keelung isle is located 6km north to the port of Keelung. This monument is dedicated to First Private Kusuda who was killed in an accident of the construction work during the Japanese Occupation of this isle before the end of World War II.』

(ホテルへ戻ってからウェブを漁ってみましたが、この殉職碑に関するものを見つけることできず。どなたか情報をお持ちでしたらお教えいただきたい。)

 他のツアー参加者は見学順路を先へ行ってしまいましたが、私は花束と道中作った折り鶴を一緒にして捧げさせていただきました。そして、しばらくの間 手を合わせていました。

 こういったものが破壊されずに残されているのは台湾だからでしょうか? しかも観光順路の中に入っている。驚きました。
 そして、地元の人たちの観光コースへ、花束を抱えて闖入した異邦人に対し寛容に接してくれたことに感謝します。

 さて、台北への復路も電車を利用。復路は記念に電車の切符をもう一枚購入しています。

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